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CFO・経営層が知るべき与信判断の基準とKPI

経営において与信判断は、「売上を伸ばす」か「損失を防ぐ」かという選択を常に伴う、極めて重要な意思決定の一つです。とくにグローバル化が進む今、単なる勘や過去実績に頼った判断では不十分です。CFOや経営層には、客観的な指標とリスク管理指標(KPI)をもとにした与信判断の仕組みが求められます。この記事では、経営視点から押さえるべき与信判断の基準とKPIについて解説します。


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1. 経営に直結する与信判断とは?

与信判断とは、取引先に対してどの程度の信用を与えるか(=どれだけ支払いを待つか)を定める行為です。判断を誤れば、未回収債権やキャッシュフロー悪化を招き、企業経営に深刻な影響を与えます。


2. 与信判断における主要な基準

■ 財務基盤の安定性

流動比率、自己資本比率、キャッシュフローなどから支払い能力を評価。


■ 支払い実績

過去の遅延履歴、債務不履行の有無など。信用調査レポート(例:CRIF SkyMinder)が有効。


■ 信用スコア・倒産リスク

スコアリングや定量化されたリスク指標で、客観性をもって判断。


■ 業界・市場リスク

取引先が属する業界の動向や地政学的リスクも加味する。


3. 経営層が見るべき与信関連KPI

KPI名

内容

意味すること

DSO(売上債権回転日数)

売掛金が回収されるまでの日数

長期化すればキャッシュフロー悪化リスク

不良債権比率

売掛金のうち回収不能な割合

与信管理の精度を示す重要指標

与信限度使用率

設定した与信枠に対する実際の取引量

与信戦略の運用状況を可視化

信用スコア平均点

取引先全体の平均信用スコア

ポートフォリオ全体の信用健全性の指標

リスク先割合

ハイリスク先(スコア低)との取引比率

取引リスクの集中度を管理

4. 実務導入のポイント

  • 与信判断を営業現場任せにせず、経営・財務視点からの統制ルールを設ける

  • SkyMinderなど外部データの活用により、判断の客観性を担保

  • KPIは月次でレビューし、経営会議でも共有して戦略的に見直す


まとめ

与信管理は財務だけでなく、売上・利益・資金繰り・ブランドすべてに影響する経営テーマです。CFOや経営層は、「売上と信用のバランス」を指標で見える化し、意思決定の根拠を明確にする体制を築くことが求められます。信用調査レポートとKPI管理を組み合わせた与信判断が、持続可能な成長を支える鍵となります。

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